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2026年9月11日品川区民泊旅館業条例改正骨子案に対するパブリックコメントを実施しました

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品川区民泊旅館業条例改正骨子案に対するパブリックコメントを実施しました。以下がその全文となります。

品川区議会自民党・公明党 御中

「品川区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」および「品川区旅館業に関する条例」改正骨子案に対する意見

提出者:一般社団法人東京都民泊旅館事業者協会 代表理事 戸谷豪志(アルゴレン株式会社 代表取締役)

■ はじめに

私どもは、東京都内で住宅宿泊事業および旅館業を営む事業者の団体です。「安全安心・地域共生・行政の補完」を理念に、適法で近隣に配慮した運営の普及、町会と協働した夜間の見回りや清掃活動、観光庁や議員の皆様との意見交換を続けてまいりました。

今回の改正案が掲げる「周辺住民の生活環境を守る」という目的には、事業者の立場から全面的に賛同いたします。騒音・ごみ・誤訪問といったトラブルは、真面目に運営している事業者にとっても信用を損なう最大の脅威であり、ルールを守らない事業者を明確に区別して是正できる仕組みは、私どもにとっても望ましいことです。

そのうえで、条例の実効性を高め、適法に運営してきた事業者が引き続き地域に貢献できるよう、以下のとおり意見と代替案を申し上げます。

■ 要旨

1. 事前周知、宿泊者への事前説明、国内に住所を有しない営業者の代理人選任、連絡先の明示、苦情対応、指導・命令・公表には賛同します。あわせて、代理人および苦情窓口となる者は日本語で対応できる者とすることを提案します。

2. 住宅宿泊事業の制限区域を区内全域へ拡大する点(近隣商業・商業地域も週末のみとする点)は再考をお願いします。まず今回新設される他の措置を施行し、苦情の実データに基づいて区域を判断してください。既存の届出住宅には適用しない方向と伺っており、その方向性を堅持し、条例の附則で明文化してください。あわせて、苦情の件数と、苦情を受けた施設の数(直近半年など)の公表をお願いします。

3. 管理者の駆け付けを「半径800m以内の事務所」とする点は、距離ではなく到着時間で定めることを提案します。

4. 旅館業の営業従事者の常駐については、小規模施設にICT設備と駆け付け体制による代替を残し、既存の許可施設・申請中の施設には経過措置を設けてください。

5. 当協会は、苦情発生状況の定期調査と教育を柱とする「適正事業者認定制度」を設ける予定です。認定を受けた事業者の届出住宅については、用途地域による制限が設けられた場合でも営業を認める仕組みづくりをお願いします。

6. 事業者団体として、説明会の運営支援、苦情窓口、町会との連携、ICT管理の自主導入などで区と協働する用意があります。あわせて、住宅宿泊事業者を構成員とする事業者団体を条例の検討会等にお招きいただくようお願いします。

■ 各論

1.届出前・許可申請前の事前周知(両条例):賛同、運用の明確化を提案

現行条例第4条第2号でも周知は努力義務とされ、区の手引きでもポスティングや対面説明が案内されています。これを義務化し記録を残す仕組みは、誠実な事業者と周知を怠る事業者を区別するうえで有効と考えます。実務上、次の点を条例または規則で明確にしていただきたく存じます。

(1)説明会は「開催し、記録を作成すること」で義務を果たしたものとし、周辺住民の同意や参加者の有無を要件としないこと。

(2)対象となる周辺住民等(敷地境界から30m程度)が少数の場合は、個別訪問や書面による説明で代替できること。

(3)掲示物、説明資料、記録簿の標準様式を区が用意すること。

(4)町会・自治会からの対面説明の要望について、受付の方法と期限を定め、手続きが際限なく長引かない設計とすること。

2.宿泊者への事前説明、代理人の選任、連絡先の明示、苦情対応(両条例):賛同、窓口の要件を提案

宿泊者への事前説明と苦情対応は、住宅宿泊事業法第9条・第10条および現行条例第7条に基づき、多くの事業者が既に実施している事項です。代理人の選任と連絡先の明示を含め、条例上の位置づけを明確にすることに異存はありません。外国人宿泊者には多言語での説明が実効的であることを付記します。

そのうえで、国内に住所を有しない営業者が選任する代理人、および周辺住民からの苦情・問合せの窓口として連絡先を明示する者については、「日本語で苦情および緊急時の連絡に対応できる者」であることを要件に加えることを提案します。周辺住民の方が苦情を申し出た際に言葉が通じなければ、窓口を設けた意味がなくなり、不安や不信をかえって大きくします。国籍や居住地ではなく、窓口としての職務を果たせるかという能力の要件として定めれば、事業者の側にも受け入れやすく、実効性のある規定になると考えます。

3.管理者の駆け付け「半径800m以内の事務所等」(住宅宿泊事業):時間基準への変更を提案

迅速に駆け付ける体制を求める趣旨には賛同します。ただし「半径800m以内の事務所」という距離基準には次の懸念があります。

・区内に点在する届出住宅を管理する業者に、住宅ごとに800m以内の拠点を求めると、半径800mの円の面積は約2平方キロメートルですので、区の面積22.84平方キロメートルに対して十数か所の拠点が必要になり得ます。管理業者が区内に多数の事務所を構えることは現実的でなく、結果として区内で管理を受託できる業者が極端に減り、かえって管理の担い手不足を招くおそれがあります。

・現行の区の手引きは「苦情があってから現地に赴くまでの時間は30分以内が目安」とし、旅館業の運用基準要綱は「おおむね10分程度で駆けつけることができる体制」を求めるなど、いずれも時間で定めています。半径800mは徒歩でおおむね10分に相当し、趣旨は同じものと理解しています。

そこで、距離ではなく「おおむね10分程度で到着できる体制(交通手段は問わない)」という時間基準で規定し、旅館業の許可申請で既に行われているように、届出時に拠点の所在地と到着時間を示す書類を添付させて区が確認する仕組みとすること、また警備会社等への委託による駆け付けも一定の条件で認めることを提案します。参考として、江戸川区は旅館業で玄関帳場を設けない場合の駆け付け体制を「通常概ね10分程度(概ね800m以内)」と、時間を主、距離を従として定めています。

4.制限区域の区内全域化(住宅宿泊事業):再考をお願いします

現行条例第9条は、近隣商業地域および商業地域(文教地区を除く)以外の区内全域を制限区域とし、月曜正午から土曜正午までの営業を制限しています。骨子案はこれを区内全域に広げ、商業地域でも週末のみの営業となります。

(1)法令との関係

住宅宿泊事業法第18条は、実施期間の制限を「合理的に必要と認められる限度において」行うものとし、同法施行令第1条第2号は、制限区域の指定を「土地利用の状況その他の事情を勘案して、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止することが特に必要である地域内の区域について行うこと」と定めています。区内全域を制限区域とする例は他区にもありますが、商業地域は都市計画上ホテル・旅館の立地が予定された地域であり、閑静な住宅地と同列に「特に必要である地域」とするかどうかは、品川区の商業地域の土地利用の実情に即してご判断いただきたいと考えます。

(2)国の技術的助言との関係

厚生労働省・国土交通省・観光庁が令和8年7月15日に発出した技術的助言(健生衛発0715第1号ほか)も、制限は「合理的に必要と認められる限度」で行うものとし、既存の届出住宅にも制限を及ぼす場合については、「現に静穏な居住環境が著しく損なわれているなどの強い必要性が認められ、他に適切な対応策が存在しない場合」に「一定の猶予期間を設けた上で」営業可能日を土日祝前日等に限定することなどが考えられる、と整理しています。今回の骨子案は、事前周知の義務化、駆け付け体制、業務停止・廃止命令と公表という「他の対応策」を同時に新設するものです。この整理に沿えば、まずこれらを施行して効果を検証し、それでもなお解消しない地域について、苦情の実データに基づいて区域の拡大を判断する段階的な進め方が妥当と考えます。

(3)区の実情と、苦情件数・苦情施設数の公表のお願い

区が公表している届出住宅一覧(令和8年8月15日現在)では、区内の届出住宅は233件で、23区の中では少ない部類です。件数がこの規模であるうちは、苦情の件数と発生場所を用途地域別に把握し、的を絞った対策をとることが可能と考えます。

そこで、条例案の審議に先立ち、次の数字の公表をお願いします。

・苦情の件数(年間および直近半年)

・苦情を受けた施設の数(同じ期間。同一施設への複数の苦情は1施設として数えたもの)

・上記の用途地域別の内訳と、届出住宅・旅館業施設・無届け施設の別

苦情は一部の施設に集中していることが多く、苦情の件数と苦情を受けた施設の数には大きな開きがある可能性があります。苦情を受けた施設の数が限られているのであれば、当該施設への指導・勧告や、今回新設される命令・公表の運用によって改善できる見込みが高く、区内全域を一律に制限する必要性を判断する材料になります。逆に施設数が多く広範囲に及んでいるのであれば、区域の見直しが必要という判断の裏付けになります。いずれにしても、数字を公表したうえでの議論をお願いします。

(4)既存の届出住宅には適用しない方向性の堅持

今回の改正は既存の届出住宅には適用しない方向と伺っており、その方向性に深く感謝するとともに、条例の附則で明文化していただくようお願いします。商業地域では、現行条例のもとで年間180日の営業を前提に投資し、適法に運営してきた事業者がいます。週末のみとなれば営業可能日は年間およそ100泊まで減り、事業の継続が困難になります。区域を拡大する場合であっても、施行日前に届出をした住宅には新たな制限を適用しない扱いを堅持してください。令和8年に施行された墨田区・葛飾区・渋谷区・江戸川区の改正条例も、いずれも施行前に届出をした住宅について新たな制限を適用しない経過措置を置いています。

5.営業従事者の常駐(旅館業):小規模施設の代替要件の存置と経過措置を提案

現行の旅館業条例第5条第11号は簡易宿所等に「緊急時における迅速な対応を可能とする体制」を求め、運用基準要綱第11条は、緊急通報設備等を備えたうえで「おおむね10分程度で駆けつけることができる体制」を玄関帳場の代替として認め、同第15条は従業者の常駐を「望ましい」とするにとどめています。骨子案はこの常駐を営業時間中の義務とし、常駐用の設備の設置を求めるものです。

一戸建てや小規模な施設で終日従業者を常駐させることは、人件費の面で事業として成り立たず、実質的に小規模旅館の新規参入を閉ざすことになります。また、区の要綱に従って適法に許可を受け、駆け付け体制を整えて運営してきた既存施設に遡って適用されれば、多くの施設が廃業を余儀なくされます。

そこで次の2点を提案します。

(1)客室数・定員が一定規模以下の施設(例:客室5室以下・宿泊定員10人以下)については、緊急通報設備、出入口の映像確認、宿泊者の本人確認を行うICT設備と、おおむね10分以内の駆け付け・常時対応体制を、常駐に代わる要件として条例上に位置づけること。北区は、一団体で貸し切る客室5室以下・宿泊定員10人以下の簡易宿所について、ICT設備と10分程度の駆け付け体制を条件に常駐と玄関帳場のいずれも不要とする区分(いわゆる不在型施設)を条例と施行細則に設けています。

(2)施行日前に許可を受けた施設および申請中の施設には、改正後の常駐・構造基準を適用しない経過措置を設けること。令和8年に施行された改正条例で常駐を義務化した墨田区・葛飾区・渋谷区は、いずれも施行前に許可を受けた施設や申請中の施設を対象外とし、江東区も既存施設の常駐・構造基準について経過措置を設けています。

6.指導・勧告・命令・公表(住宅宿泊事業):賛同、手続きの明確化を提案

ルールを守らない事業者への業務停止・廃止命令と公表は、誠実に運営する事業者の利益にもなるものであり賛同します。命令に至る基準の公表、弁明の機会の確保、指導・勧告・命令の段階的な運用を規則等で明確にしていただくようお願いします。あわせて、説明会の実施、苦情対応の記録、ICT管理の導入など一定の基準を満たす事業者を区が確認・公表するなど、良好な運営を評価する仕組みも将来的にご検討いただければ幸いです。

7.適正事業者認定制度と、認定事業者に対する営業の容認:新たな仕組みの提案

当協会は、周辺住民の生活環境を守りながら適法な事業者が地域に根ざして営業を続けられるよう、「適正事業者認定制度」を設ける予定です。制度の柱は次のとおりです。

(1)認定基準:事前周知と説明会の実施、日本語で対応できる苦情窓口の設置、駆け付け体制、騒音計や出入口カメラ等によるICT管理、宿泊者への注意事項の説明、ごみの適正処理など、本骨子案が求める事項を満たしていること。

(2)定期的な調査:認定事業者の届出住宅ごとに、苦情の発生状況とその対応を定期的に調査し、記録を区に報告すること。

(3)教育:認定事業者とその従業者、委託先の管理業者に対し、近隣配慮や苦情対応に関する研修を定期的に行うこと。

(4)認定の取消し:苦情が繰り返し発生し改善が見られない場合や、条例・法令に違反した場合は、認定を取り消し、区に通知すること。

そのうえで、区が定める基準を満たしてこの認定を受けた事業者の届出住宅については、用途地域による実施の制限が設けられた場合であっても、営業を認めていただく仕組みづくりをお願いします。認定の基準や運用を区と協議して定め、区の確認や監督のもとで運用することで、規制が「一律に営業を止める」ものから「良好な運営を続ける事業者を残し、そうでない事業者を淘汰する」ものへと変わり、条例の目的である生活環境の保全と、区内の宿泊需要への対応を両立できると考えます。

8.条例の検討過程への事業者団体の参加:お願い

住宅宿泊事業者が一定の構成員となっている事業者団体を、条例案の検討会や意見交換の場にお招きいただくようお願いします。現場の運営実態や、規定が実務にどう影響するかを検討の段階でお伝えできれば、実効性の高い条例づくりに貢献できると考えます。

■ 事業者団体としての協力

私どもは、条例の目的を実現するため、次の協力を行う用意があります。

・説明会の運営支援(進行、多言語の説明資料、記録様式の整備)

・周辺住民からの苦情を受け付ける一次窓口の設置と、会員事業者への是正指導

・町会・自治会との連携(見回りや清掃活動への参加、顔の見える関係づくり)

・騒音計や出入口カメラ等によるICT管理の自主導入と、区の検証への協力

・適正事業者認定制度の運用(苦情発生状況の定期調査、研修、区への報告)

・条例の検討会や意見交換の場への参加

適法に運営する事業者が地域と共存し、ルールを守らない事業者が淘汰される条例となるよう、引き続き対話の機会をいただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

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